好酸球性副鼻腔炎

好酸球性副鼻腔炎は従来の慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とは異なり、喘息に合併することが多く、薬物療法で改善することが難しい難治性の慢性副鼻腔炎です。
好酸球性副鼻腔炎の原因・病態はいまだ不明な点が多いですが、2015年に日本において診断基準が作成されました。
治療法の選択には個々の患者様の病状をきちんと評価する必要があります。

特徴

  • 成人発症が多い(発症年齢は40歳前後が多い)
  • 喘息を合併することが多い。
  • 主要症状は嗅覚障害・鼻閉や粘り気の強い鼻汁
  • 多発性ポリープ(鼻茸):好酸球が豊富である
  • 従来の薬物療法の効果が低いがステロイド薬の有効。
  • 採血で好酸球数が高い。
  • 中耳炎の合併がある。(好酸球性中耳炎)

診断

鼻鏡検査や内視鏡検査(ポリープの有無)、副鼻腔CT検査、血液検査(血中好酸球数)などをスコア化して診断します。また、確定診断には鼻ポリープの病理組織検査が必要で、一視野あたりに浸潤する好酸球数をカウントします。

好酸球性副鼻腔炎の治療法

難治性の好酸球性副鼻腔炎は、従来の慢性副鼻腔炎とは異なりマイクロライド療法の効果が期待できません。ステロイド薬は有効ですが、副作用の問題がありステロイド薬の長期間の投与はお勧めできません。
そこで難治性の好酸球性副鼻腔炎には手術治療が第一選択となります。
ただし、従来の慢性副鼻腔炎よりも再発率が高いので、術後の治療が重要で長期の経過観察が必要となります。また難治再発性の場合は国の難病指定を受けることもあります。

生物学的製剤(デュピルマブ)による注射治療

好酸球性副鼻腔炎重症例に対する新しい治療法として、タイプ2炎症阻害剤であるデュピルマブによる注射治療が2020年4月より保険適応になりました。
2~4週間に一度注射を行います。慣れてくればご自宅での自己注射も可能です。術後再発例や経口ステロイド抵抗例などが適応として定められています。非常に高価な薬剤なので難病認定の後助成を受けながら使用するのが望ましいです。
※当院では生物学的製剤(デュピルマブ)は行っていません。
御希望の方は総合病院耳鼻咽喉科へご紹介致します。